遊覧通信 その1
~1998年の燃えカス~
あの日の花火は、川に浮かべられた舟から打ち上げられていた。
打ち上がってしばらくすると、ザーっと燃えカスが降ってきた。
はじめは燃えカスなんて気にならなかったが、
これがずっと続くのかと思うと少し不安になった。
周りを見ると見物客の多くが、
困った花火大会だなって笑いながら頭に付いた燃えカスを手で払っていた。
ドーン 花火がサクレツする。
そのたびに対岸の見物客が姿を現す、向こうも大勢だ。
帰り道、駅へと続く商店街のアケードを、
今日だけは頭に沢山の燃えカスをのせた、1998年を生きる人が大勢歩いていた。
花火の日だけやってる屋台で、ラムネを買った。
ラムネはネコ(手押し車)に氷水をはった桶に浮いていた。